• コロナ禍で要件を見直し! 受け取りやすくなったキャリアアップ助成金を解説!

    コロナ禍で要件を見直し! 受け取りやすくなったキャリアアップ助成金を解説!

    若い世代ほど比率が高い、非正規雇用。こうした人たちを支援するために厚生労働省が実施しているのがキャリアアップ助成金制度です。非正規雇用の人たちのキャリアアップを考える企業に助成金を支給します。コロナ禍の影響でますます厳しくなる雇用状況を踏まえ、2021年4月から適用要件が見直され、助成金がより受け取りやすくなりました!

    社員は財産、将来を見据えたキャリアアップを国がサポート

    アルバイトや派遣社員など、いわゆる非正規雇用で働く人たちは、雇用状態が不安定なうえ、能力開発の機会も少ないことでキャリアを積むこともままなりません。しかも、年齢を重ねるにつれ、こうした状況から抜け出しにくくなっていき、働くモチベーションや生きる意欲にも影響を与えるようになっていきます。これは、まわりまわって企業にとっても損失といえそうです。こうした非正規雇用労働者の雇用の安定や処遇を確保するために厚生労働省が実施している制度がキャリアアップ助成金制度です。

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    これは、非正規雇用労働者を雇用する企業において、企業内でのキャリアアップを促進し、雇用形態を正社員に転換するなどの取り組みを実施した事業主に助成金を支給する制度です。社員は、最終的には企業にとって財産です。社内でのキャリアアップを図ることでお互いの信頼も増し、仕事への取り組みにもよりよい影響が期待できます。

    コロナ禍の厳しい社会状況によって、2021年4月から適用要件を見直し

    長年、行われているキャリアアップ助成制度ですが、コロナ禍は企業にとっても向かい風であることは同様です。そこで、助成金を受け取るための要件の見直しが行われ、より助成金が受け取りやすくなりました。コロナ禍で将来の見通しが難しいタイミングですが、新卒採用を見送る企業があるなど、優秀な人材でも縁を逃している可能性が高いタイミングでもあります。この機会にキャリアアップ助成金を利用して、優秀な人材を確保してみてはいかがでしょうか?

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    キャリアアップ計画書や就業規則への記載はキャリアアップ前に

    キャリアアップ助成金は、キャリアアップ計画書の提出や、キャリアアップ計画に基づいて、そうした制度があることを就業規則に記載する必要があります。面倒かもしれませんが、これは必ず正社員化などをする前に労働基準監督署に提出しなければなりません。

    キャリアアップ計画書については受領印が、就業規則の変更については検印が必要です。特に就業規則の変更は、労働者側の意見書も必要なため、ある程度時間をかける必要があります。

    とはいえ、実施前に間に合わせればいいわけですから、例えば正社員化コースであれば、雇用後半年近くほどの時間的な余裕があります。お互いを理解すると同時に、準備をするのにも十分な時間があるといえます。

    コースは多彩! 生産性が増すとさらに助成率がアップ!

    次に助成金の対象となるコース名と内容をご紹介します。
    助成金は、中小企業をより手厚くサポートするように設計されていますので、ご紹介する金額は、中小企業を対象としたものでとしています。それ以外の企業については、金額が異なりますので、その金額は厚生労働省WEBサイトのキャリアアップ助成金についてのページをご確認ください。

    また、キャリアアップに伴う生産性の向上についての取り組みについても別途要件が用意されています。生産性を向上させた企業が労働関係助成金を利用する場合、その助成額または助成率を割り増しされます。こちらの詳細についても、厚生労働省WEBサイトのキャリアアップ助成金についてのページをご確認ください。

    厚生労働省 キャリアアップ助成金について

    キャリアアップ助成金における「中小企業事業主」の範囲とは?

    キャリアアップ助成金にける「中小企業事業主」とは?
      資本金の額・出資の総額

     

    または

    常時雇用する労働者の数(※)
    小売業(飲食店含む) 5,000万円以下   50人以下
    サービス業 5,000万円以下 100人以下
    卸売業 1億円以下 100人以下
    その他の業種 3億円以下 300人以下

    ※資本金等のない事業主については常時雇用する労働者の数で判定
    ※常時雇用する労働者の数とは、2カ月を超えて使用される者(実態として2カ月を超えて使用される者のほか、それ以外の者であっても雇用期間の定めのない者および2カ月を超える雇用期間の定めのある者を含む)であり、かつ、週当たりの所定労働時間が当該事業主に雇用される通常の労働者と概ね同等(現に当該事業主に雇用される通常の週当たりの所定労働時間が40時間である場合は、おおむね40時間である者をいう)である者をいいます。

    優秀な人材を正社員に転換する「正社員化コース」

    有期労働者などを正規雇用労働者などに転換、または直接雇用した場合に助成金が支払われます。

    支給額の概要(1人当たり、中小企業の場合)
    キャリアアップの形態 一人当たりの支給額
    ①有期→正規 57万円
    ②有期→無期 28万5000円
    ③無期→正規 28万5000円

    (①~③合わせて、1年度1事業所当たりの支給申請上限人数は20人まで)

    各種加算措置(1人当たり、中小企業の場合)
    加算措置に対応する内容 1人当たりの支給額
    (1)派遣労働者を派遣先で正規雇用老僧者として直接雇用した場合 28万5000円
    (2)母子家庭の母等または父子家庭の父を転換等した場合 9万5000円
    (3)勤務地・職務限定・短時間正社員制度を新たに規定し、有期雇用労働者等を当該雇用区分に転換または直接雇用した場合(1事業所当たり1回のみ) 9万5000円

     

    支給要件

    以前の要件 正規雇用等へ転換した際、転換等前の6カ月と転換等後の6カ月の賃金(※)を比較して、以下のアまたはイのいずれかが5%以上増額していること
    ア)基本給および定額で支給されている諸手当(賞与を除く)を含む賃金の総額
    イ)基本給、定額で支給されている諸手当および賞与を含む賃金の総額(転換後の基本給および定額で支給されている諸手当の合計額を、転換前と比較して低下させないこと)

       ↓

    2021年4月1日からの新要件 正規雇用等へ転換した際、転換等前の6カ月と転換等後の6カ月の賃金(※)を比較して3%以上増額していること
    ※基本給及び定額で支給されている諸手当を含む賃金の総額であり、賞与は含めない

    2021年2月5日より正社員化コースは制度を拡充!

    新型コロナウイルス感染症の影響が長引き、失業者は10万人を超えています。こうした状況下で、これまでキャリアを積んできた職種で新しい仕事に就くことができず、未経験の職種で新たなキャリアを積む人が増えています。これは働く人にとっても、企業にとってもチャレンジです。このチャレンジを支援するために、紹介予定派遣を通じた派遣労働者の正社員化に取り組む派遣先事業主に対するキャリアアップ助成金の助成対象が拡充されました!

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    具体的には、新型コロナウイルス感染症の影響による離職者(2020年1月24日以降に離職した者)で、就労経験のない職業に就くことを希望する人が紹介予定派遣ののち、派遣先の事業所に正社員として直接雇用された場合、直接雇用前に当該事業所に従事していた期間について、本来6カ月以上となっていたところを、2カ月以上~6カ月未満でも支給対象となりました。

    離職の理由が自己都合でも新型コロナウイルス感染症の影響によるものであれば、支給対象となります。また、自ら事業を営んでいて廃業した場合や、役員等の退任も「離職」に含まれます。

     

    適用されるのは、2021年2月5日~2022年3月31日までに紹介予定派遣にかかわる派遣労働者を正社員として直接雇用した場合です。詳しい要件は、厚生労働省のホームページ「キャリアアップ助成金正社員化コースの制度拡充に関するQ&A」で確認できます。

    離職時の雇用形態と新規雇用についての例

    ①有期雇用労働者の契約期間が2020年1月24日以降に満了し、別の事業所で紹介予定派遣を通じて就労経験のない職業に正社員として直接雇用された場合
    ②有期雇用労働者の契約期間が2020年1月24日以降に満了し、同一の事業所で紹介予定派遣を通じて就労予定派遣を通じて就労経験のない職業に正社員として直接雇用された場合
    ③派遣労働者の派遣期間が2020年1月24日以降に満了し、別の派遣先で紹介予定派遣を通じて就労経験のない職業に正社員として直接雇用された場合
    ④派遣労働者の派遣期間が2020年1月24日以降に満了し、同一の派遣先で紹介予定派遣を通じて就労経験のない職業に正社員として直接雇用された場合
    ⑤日雇い労働を行っていた者が2020年1月24日以降に、紹介予定派遣を通じて就労経験のない職業に正社員として直接雇用された場合
    ⑥自ら事業を営んでいる者が2020年1月24日以降に廃業し、紹介予定派遣を通じて就労経験のない職業に正社員として直接雇用された場合

    賃金規定等改定コース

    すべてまたは一部の有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を増額改定し、昇給した場合に助成します。

    すべての有期雇用労働者等の賃金規定等を2%以上増額した場合
    対象労働者数 助成額
    1人~3人 1事業所当たり  9万5000円
    4人~6人 1事業所当たり    19万円
    7人~10人 1事業所当たり    28万5000円
    11人~100人 1人当たり    2万8500円

     

    一部の賃金規定等を2%以上増額した場合
    対象労働者数 助成額
    1人~3人 1事業所当たり  4万7500円
    4人~6人 1事業所当たり    9万5000円
    7人~10人 1事業所当たり    14万2500円
    11人~100人 1人当たり    1万4250円

    (1年度1事業所当たり100人まで、申請回数は1年度1回のみ)

     

    中小企業において3%以上5%未満増額改定した場合に助成金額を加算
    対象労働者 助成額
    すべての賃金規定等改定 1人当たり  1万4250円
    一部の賃金規定等改定 1人当たり   7600円

     

    中小企業において5%以上増額改定した場合に助成金額を加算
    対象労働者 助成額
    すべての賃金規定等改定 1人当たり  2万4250円
    一部の賃金規定等改定 1人当たり  1万2350円

    障害者雇用安定助成金を移管して「障害者正社員化コース」新設!

    障害者の雇用促進と職場定着を図るために、以下のいずれかの措置を講じた場合に助成されます。

    ①有期雇用労働者を正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換する
    ②無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換する

     

    支給額
    支給対象者 措置内容 支給総額 支給対象期間 支給対象期間における支給額
    重度身体障害者、重度知的障害者及び精神障害者 有期雇用から正規雇用への転換 120万円
    (90万円)

     

     

    1年

    60万円×2期
    (45万円×2期)
    有期雇用から無期雇用への転換 60万円
    (45万円)
    30万円×2期
    (22.5万円×2期)
    無期雇用から正規雇用への転換 60万円
    (45万円)
    30万円×2期
    (22.5万円×2期)
    重度以外の身体障害者、重度以外の知的障害者、発達障害者、難病患者、高次脳機能障害と診断された者 有期雇用から正規雇用への転換 90万円
    (67.5万円)
    45万円×2期
    (33.5万円×2期)
    ※第2期の支給額は34万円
    有期雇用から無期雇用への転換 45万円
    (33万円)
    22.5万円×2期
    (16.5万円×2期)
    無期雇用から正規雇用への転換  45万円
    (33万円)
    22.5万円×2期
    (16.5万円×2期)

    ※( )内は中小企業以外の額
    ※支給対象期間1年間のうち、最初の6カ月を第1期、次の6カ月を第2期の支給対象期という
    ※支給対象者1人あたり、上記の額が支給されます。ただし、当該額がそれぞれの支給対象期における労働に対する賃金の額を超える場合には、当該賃金の総額を上限とします

    健康診断制度コースも統合した「諸手当制度等共通化コース」

    有期雇用労働者等に対して正規雇用労働者と共通の諸手当制度を新たに設けて適用した場合、有期雇用労働者等を対象とした「法定外の健康診断制度」を新たに規定し、延べ4人以上に実施した場合に助成します。

    支給額(中小企業の場合)
    1事業所当たり 38万円

    (1事業所当たり1回のみ)

    各種加算措置
    (1)共通化した対象労働者(2人目以降)について、助成額を加算 対象労働者1人当たり 1万5000円(上限20人まで)
    (2)同時に共通化した諸手当(2つ目以降)について、助成額を加算 諸手当の数1つ当たり 16万円

     

    支給要件

    対象となる手当(2021年4月1日~変更)
     ①賞与
     ②家族手当
     ③住宅手当
     ④退職金
     ⑤健康診断制度

    (注)上記①~④について、以下の支給または積み立てなどを行った事業主が対象です。
    ⓵6カ月分相当として5万円以上支給する
    ②③1か月相当分として1つの手当につき3,000円以上支給
    ④月3,000円以上積み立て
    なお、⑤については各種加算予算(1)の対象となりません

    ※健康診断制度に関する支給要件の注意点:コースの統合に伴い、定期健診診断等の受信日の前日から起算して3カ月以上前の日から受診受信後6カ月以上の期間継続して、支給対象事業主に雇用されている有期雇用労働者等のであることが必要
    ※これに伴い、支給申請期間も、健康診断制度を有期雇用労働者等に延べ4人以上実施した日を含む月以降6カ月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2カ月以内になります

    賃金規定を新設した事業所を助成する「賃金規定等共通化コース」

    有期雇用労働者等について、正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規定等を新たに作成し、適用した場合に助成します。

    支給額
    1事業所当たり 57万円

    (1事業所当たり1回のみ)

    共通化した対象労働者(2人目以降)について、助成額を加算
    対象労働者1人当たり 2万円

    (上限20人まで)

    2022年9月末まで延長になった「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」

    非正規雇用の労働者でも一定の条件を満たした場合、労使合意に基づいて社会保険加入が適用されるようになりました。この措置の導入に伴い、その雇用する有期雇用労働者等について、働き方の意向を適切に把握し、被用者保険の適用と働き方の見直しに反映させるための取組を実施し、当該措置により新たに被保険者とした事業主を助成するコース。2020年度限りとされていましたが、時限措置が緩和され、2022年9月末まで延長されました。

    選択的適用拡大導入時処遇改善コースの要件
    適用内容 処遇改善率 支給額
    ①労使合意に基づく任意適用に向けて、保険加入と働き方の見直しを進めるための取り組みを行った場合(1事業所当たり1回のみ)   1事業所当たり 19万円
    ②措置該当日以降に対象労働者の基本給を一定の割合以上増額した場合、基本給の増額割合に応じて助成額を加算(支給申請上限人数は45人まで) 2%以上3%未満 1人当たり  1万9000円
    3%以上5%未満 1人当たり  2万円9000円
    5%以上7%未満 1人当たり  4万円7000円
    7%以上10%未満 1人当たり  6万円6000円
    10%以上14%未満 1人当たり  9万円4000円
    14%以上 1人当たり  13万2000円
    ③措置当該日以降に有期雇用労働者等の生産性向上のを図るための取り組みを行った場合に助成額を加算(1事業所当たり1回のみ)   1事業所当たり 10万円

     

    ※取り組み時点において事業主の従業員数が101人以上500人以下の場合は、①~③の助成の措置期限が異なります。
    ①→2021年9月30日
    ②→2022年9月30日
    ③→2021年9月30日

    時限措置を2022年9月末日まで延長した「短時間労働者労働時間延長コース」

    有期雇用労働者等の週所定労働時間を延長し、新たに社会保険を適用した場合に助成します。

    短時間労働者労働時間延長コースの適用内容
    改善内容 延長時間 支給額
    短時間労働者の週所定労働時間を5時間以上延長し、新たに社会保険に適用した場合
    (支給額増額の時限措置を2022年9月末日まで延長→増額前額:19万円)
      1人当たり 22万5000円
    労働者の手取り収入が減少しないように週所定労働時間を延長するとともに基本給を昇給し、新たに社会保険を適用させた場合(1年度1事業所当たり支給申請上限人数45人まで) 1時間以上2時間未満 1人当たり   4万5000円
    2時間以上3時間未満 1人当たり   9万円
    3時間以上4時間未満 1人当たり 13万5000円
    4時間以上5時間未満 1人当たり 18万円

    (金額、上限人数の時限措置を2022年9月末日まで延長→従前の上限人数:15人まで)

    コロナ後を見据えれば助成金制度の利用は賢い選択

    コロナ禍が長引くなか、厳しい状況に陥る企業も増えています。こういう時こそ、国の助成金制度などをしっかり利用するべきです。

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    とはいえ、こうした制度はさまざまな要件をきちんと理解し、必要な計画を立て、書類を作成し、決められた期間内に提出する必要があります。
    例えば、キャリアアップ助成金は雇用保険適用事業所の事業主であるというのは、まずスタートラインにつくための要件です。加えて、事業所ごとにキャリアアップ管理者を置く、対象労働者のキャリアアップ計画を作成し、コース実施日の前日までに提出するといった手順を踏まなければなりません。

    しかし、そうした手順を踏むことで、雇用する企業としても採用計画や教育計画が明確になり、より効果的に採用や教育を行うことができるようになるはずです。コロナ禍を企業としての体力をつけるための機会と捉え、国が用意してくれている制度はどんどん利用していきましょう。