• 多様化する葬祭業、成長のカギは対応力か?

    多様化する葬祭業、成長のカギは対応力か?

    自分に合う仕事を探すことに一生懸命な年代である20~30代前半世代では、お葬式に参列した経験が豊富な方はあまりいません。ましてや喪主となる経験は、むしろないほうがいいとも言えます。とはいえ、こうした状況が葬祭業界を就職や転職の対象として考えられない原因となっているかもしれません。ところが、親しい方の葬儀を経験すると、そのあとに葬儀業界で働きたいと考える人は結構多いのです。実は、知っていれば働く意欲を喚起する業界なのかもしれません。業界事情についてご紹介します。

    葬儀 多様化

    高齢化社会の日本だから葬儀件数は増加の一途

    高齢化が進む日本は、死亡者が年々増えています。厚生労働省による人口構成比の変化にもその動向は見て取れます。こうなると人の死と関連する葬祭業は、手堅い業界といえそうですが、実際のところ市場規模の増加傾向はわずかなもの。そこにはコロナ禍の影響ももちろんあります。

    2019年の葬祭業界の市場規模は、1.8兆円ほど。2012年から2014年ごろまでは市場も増加傾向だったのですが、2014年から2020までは緩やかに。その理由は、新規参入者が増えて競争が激しくなったことが上げられます。

    また、競争が激しくなると価格競争が始まるのは常。葬祭業は仕事の多くがサービス分野ですから価格がつけづらい一面があり、価格競争が起こる理由は以前からあったといえそうです。

    こうした理由から死者の増加に伴い葬儀の件数は増えているものの、価格が下がっているため市場規模も微増となっているのです。

    家族葬や空間演出など葬儀スタイルが多様化

    これまでお葬式といえば、その家の宗教にのっとって行うのが大多数でした。普段、宗教に基づいた生活を送ったことがない人でも最期は自分の家の宗教のスタイルに準じていたのです。

    しかし、結婚式を教会で行ったり、レストランなどで宗教とは関係のないスタイルで行うのが当たり前になった今、葬儀のスタイルも宗教にとらわれない多様なスタイルが登場しています。

    例えば、厳かな雰囲気でも宗教にとらわれることのないスタイル、家族だけで行うスタイル、故人の趣味のものなどで演出したり、写真をたくさん飾ったりした中、大勢の会葬者を迎えるスタイルなど。故人の人となりを尊重したり、ご遺族の希望が多様化したりして、その思いに応じるスタイルが形となっているのです。

    埋葬スタイル 多様化 永代供養

    樹木葬や海への散骨など埋葬方法も多彩に

    少子高齢化により、家族の概念も変わり、「おひとりさま」も増加しています。結婚しても子どもを持たない選択をする人もいて、お墓を家族で代々守っていくという、これまでの常識も変わってきました。

    そのため家族で受け継いでいくお墓に入るという選択だけでなく、自分とパートナーだけのお墓を用意し、お寺に永代供養をお願いしたり、遺骨を海に散骨したり、樹林墓地に墓標の代わりの樹木を立てる樹木葬といった埋葬スタイルなども登場しています。

    葬儀会社は、お葬式から埋葬まで、最期の願いをいかにかなえるか、また多様な要望にいかに応えるか、その力が求められるようになっています。

    樹木葬 埋葬スタイル 多様化

    コロナ禍が推進した葬祭業界のIT化

    故人や家族の要望が多様化することに加え、現在、世界を巻き込むパンデミック、新型コロナウイルス感染症の影響もまだまだ収まる兆しが見えません。

    その影響は、葬祭業にも大きく響いています。

    一時、感染症のなかでどう葬儀を行うのか、その方法を模索することになり、儀式としての葬儀はどんどん縮小されました。対面で人と会うことは感染症対策と相反するからです。そんな中、オンラインでの葬儀が誕生し、WEB上で葬儀に参列するスタイルがあっという間に普及しました。他にもドライブスルー形式でお線香をあげるなど、密を避けるスタイルが数多く提案されています。

    しかもオンラインは、遠方からでも大切な人の最期に立ち会えると、むしろ参列者を増やす要因に。これまでIT化が進まなかった葬祭業界にも新しい流れが押し寄せる結果となっています。

    葬儀用品 オンラインショッピング クレジットカード

    葬祭関連の支出もECサイトを利用

    葬儀がオンライン化すると、お香典がクレジットカードが利用できるようになったのをはじめ、キャッシュレス決済も利用できるようになり、感染症対策も進んでいます。また、自分が足を運べない分、供花などにお金をかける人も増えています。しかも、発注から支払いまでオンラインで可能。利用する側も便利です。

    オンラインショッピング キャッシュレス決済 お香典

    こうした動きを受けて、葬祭業界のなかでもいち早く対応できたかどうかで差がつき始めています。また、ITが得意な企業が他業種から参入する動きも加速しています。

    葬儀はアナログなもの、という考えでは今後の業界をリードしていくことは難しい時代になっているといえます。