• 多様化する要望に応える葬儀会社で働くフラワーコーディネーターの仕事

    多様化する要望に応える葬儀会社で働くフラワーコーディネーターの仕事

    繊細な気持ちが揺れ動くお通夜や葬儀の場。会場内に飾られた花は旅立つ人に祈りとともに手向けるものであり、送る人の悲しみを癒す存在です。今や葬儀やお通夜になくてはならない生花を手がけるのがフラワーコーディネーターです。

    葬儀会社で働くフラワーコーディネーターの仕事

    最近の葬儀でよく見るようになったのが、棺を囲むように作られた花祭壇。贅沢なほどの量の生花を使って立体的に仕上げられていて、故人の人柄や人生がしのばれるデザインのものが多くあります。こうした花祭壇をはじめ、お通夜や葬儀では様々なタイミングで生花が使われます。葬儀会社で働くフラワーコーディネーターは、儀式を通して使う花のデザインから仕入れ、アレンジなどを行い、旅立つ人の最期のひと時を花で彩る仕事をしています。

    自社内に生花部を持つ葬儀社が増えている

    これまでは、仏式の葬儀で一般的だったのが白木で作られた祭壇です。神道やキリスト教式でも木を多用した祭壇が多く、お通夜や葬儀でこれほど多くの生花を使うことはありませんでした。そのため葬儀会社は生花を自社で用意することはなく、外部の取引先に依頼していました。ところが最近は、生花で祭壇を組み立てる花祭壇が多く取り入れられるようになり、ほかにも儀式の様々なシーンで生花を使うことが増えています。とはいえお通夜や葬儀は、最初に連絡が来てから式の当日を迎えるまであまり時間はありません。そんななかで規模の大きな花祭壇をいくつも取引先に依頼するのは、難しい状況になってきています。そうした背景から、中規模以上の葬儀会社で自社に生花部門を持つところが増えているのです。

    また、花祭壇に限らずお通夜や葬儀で使う花のアレンジは、年々多様化しています。花の種類も日本の葬儀で伝統的に使われてきた菊に限らず、洋花が取り入れられたり、色も白や寒色系にこだわらず、カラフルに仕上げるデザインもタブー視されなくなってきています。そのため、フラワーコーディネーターの仕事としても高い技術力が求められるようになってきているのです。

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    メインの仕事は花祭壇を作ること

    棺を中心に据えて立体的なデザインのフラワーアレンジで飾る花祭壇。多くの葬儀会社でベースのデザインと料金のプランを用意しています。そこからデザインをアレンジしたり、要望によってはオリジナルデザインで作り上げたり、故人と遺族の最期の願いを形にします。

    特に最近は、故人が力を入れていた趣味をモチーフにしたデザインにしたり、明るい性格を反映してカラフルな洋花を選んだりといった要望が多いため、フラワーコーディネーターには、以前の葬儀のイメージから想像できないほどの対応力とレベルの高いデザイン力が求められています。

    短時間でデザイン後、花祭壇は現場で仕上げて

    花祭壇は、会場など現場で直接設営します。デザインは、葬祭ディレクターが遺族と打ち合わせしたのちにフラワーコーディネーターへ依頼し、そこで遺族の要望を確認し、葬儀の演出に合わせたものを決めていきます。デザインを練っている時間はほとんどありませんので、アイデアをすぐに形にする力が求められます。

    花祭壇の花は棺に納めて故人に手向けて

    ほかにも儀式に使用する花は、すべてフラワーコーディネーターが用意します。故人に手向ける花束や枕花などを用意するのもフラワーコーディネーターの仕事です。枕花は、臨終からお通夜の間、故人の枕元に飾る花。枕元に置くのであまり派手にならず、白を基調にアレンジを用意します。

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    また、献花はもともとはキリスト教のしきたりですが、最近は花祭壇の花をお開き前に列席者に配り、棺に眠る故人に手向ける時間を設ける演出を加える葬儀も増えています。花祭壇から花を抜き取り、持ちやすいように調整するのもフラワーコーディネーターの仕事となります。セレモニースタッフとの連携も必要な仕事となります。

    供花にも対応してトータルコーディネート

    遠方のために列席できないという方のなかには、供花を贈るという方もいます。

    供花については、贈る人が自分が選んだ生花店に頼んで好きな花を贈る場合もありますが、葬儀場に確認してから贈るのが一般的なルールです。そのため、問い合わせがあった方の予算に合わせてその方の要望を聞きつつ、花祭壇と調和した供花をアレンジして用意するのもフラワーコーディネーターの仕事になります。

    企画・設営から仕入れまでトータルに

    フラワーコーディネーターは、花の仕入れも仕事となります。

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    打ち合わせからデザインの制作まで時間がないうえに、手配も行う必要があり、その責任は重いものとなっています。特にあまり使わない花材は、多めのストックなどの用意もないため、フラワーコーディネーターの腕の見せどころです。会場全体のフラワーアレンジのデザインと進行に合わせた対応力が必要な仕事です。

    やりがいはウエディングのフラワーコーディネーター以上

    葬祭業のフラワーコーディネーターは、利用者と直接接する機会は少ないですが、キャリアを身に着けたのちには打ち合わせに参加したり、会場で対応に当たることもあり、列席者や遺族の声を聞くチャンスも増えてきます。その多くは、感動と感謝に満ち溢れています。また、残された人の悲しみを癒したり、故人の旅立ちに文字通り花を添える、花の持つ力を実感する機会が数多くあります。

    フラワーアレンジの豊富さ、花祭壇の作成など規模、扱う花材の種類の多さは、華やかに見えるウエディング業界のフラワーコーディネーター以上。やりがいも勝るとも劣りません。特に高齢化に伴い、葬儀の数は増えているため、最近は葬儀会社でのフラワーコーディネーターは人材不足気味です。やりがいを求めて充実した人生を送りたい人にこそトライしてほしい業界であり、仕事といえます。