• 葬儀はなぜ行うのか? そこにある意味と役割について

    葬儀はなぜ行うのか? そこにある意味と役割について

    人が亡くなると必ず行われる葬儀。実は、遥か古代の昔から世界中のあらゆる人種・民族の間で、「死」に際し、葬儀を行ってきたことがわかっています。死は誰もが経験しますが、その後の処理を自分で行うことはできません。必ず誰かにゆだねられます。亡くなった方を送る儀式は、残された人にとってこその意味が大きいのかもしれません。

    葬儀はなぜ、行われるのか?

    人間の赤ちゃんは、生まれてから一人で立てるようになるまでには1年近くの時間がかかります。栄養を摂るのも最初は母乳やミルクなどの液体、離乳食から大人と同じ食べ物へ。生きていくための知恵も少しずつ身に着けていくような、ひ弱な生き物です。

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    こうしてみると、人間は一人で生きてはいけないようにできています。大人になるまでは最低でも家族単位、大人になり、単身だったとしても社会のなかに組み込まれて生きていきます。そう考えると人とのかかわりの中で人間の存在は、一人ひとりとても大きなもの。葬儀を行う大きな理由は、そこにありそうです。

    それぞれの人が「死」を受け止める儀式

    関わりある人が亡くなったとき、その事実そのものを受け止めなければなりません。また、関わる人への配慮も必要になります。人の「死」は、たくさんの人にさまざまな波紋を起こします。

    1.みんなにお知らせします

    人は誰もが社会を構成するメンバーです。そのメンバーが亡くなったことを知らせるのが葬儀の役割の一つです。故人を知っている方にお知らせし、集まってその死をみんなが確認する。その死を知ることで、その人と関わりのあった社会は新しい一歩を踏み出すことになります。

    手続きとしては、死亡届を役所に提出したり、戸籍から抹消したり。残したものがあれば、相続などが発生します。

    2.遺体を処理します

    生き物である以上人間も、生命を失うと腐敗が始まります。そのままにしておくことはできず、適切に処理をする必要があります。また、遺体は処理しますが、生命を失った後もその尊厳は守られなければなりません。

    日本では現在、火葬でその処理を行っています。

    火葬することで多くの人が死者との別れを心に刻みます。物理的な別れによって、その人の死を再確認していきます。

    3.魂をなぐさめ、送りだす

    私たちの多くは、体とは別に魂の存在を信じています。ですから死ぬと体から魂が離れ、亡くなった人が集まる場所へ行くと考える人が大半です。

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    また、「死」はどんな形で訪れるかわからないもの。そのため送る人たちは、亡くなった方に思いをはせ、その魂を慰めたい、悼みたいと考えます。葬儀は、その思いを形にする儀式となります。

    4.残された人の悲しみを癒す

    「死」は、誰にでもおずれるものでありながら、残された人に与える衝撃はとても大きいものです。亡くなった方との関係性にもよりますが、死の事実を受け入れられない人も少なくありません。また、自分が受けた衝撃に気づかない人もいます。「死」を受け入れ、その悲しみを癒すには長い時間が必要です。

    親しい方の死に直面した人の心にある喪失感は深刻で、その痛みに寄り添い、支えて立ち直りの取り組みを行うことをグリーフケアと呼びます。葬儀は、その悲しみを感じ、十分に嘆く機会となります。

    その喪失(グリーフ)が癒えるのに必要な時間もまた、人それぞれです。日本では初七日、四十九日、一周忌と節目に法要を行いますが、これもまたグリーフケアのプロセスと考えてよいものです。1年で立ち直る人もいれば、もっとかかる人もいます。葬儀は、その悲しみに寄り添い支えるプロセスの一つです。

    5.命の大切さを語りかける役割も

    葬儀を行うことで、「死」を正面から受け止めることになります。驚きから悲しみに浸り、悲嘆にくれる。あるいは、そういう人をまじかに見ることになる。人の死を通じて、命の大切さを改めて自覚します。故人の遺体を大切に扱うことや悲しみに暮れる人同士で慰めあうなど、人の思いやりに触れる機会ともなります。

    また、自分もいつかは死ぬ存在であることに気がつきます。葬儀は、命の重や生きることの大切さを学ぶ機会ともなります。

    葬儀のスタイルは自由

    葬儀にはいろいろな役割があることはおわかりいただけたでしょうか。とはいえ、葬儀のスタイルは自由です。

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    最近は、家族葬などでこじんまりと送るスタイルも増えています。葬儀は、自分の命を大切にして生きるためのステップです。どんなスタイルでも、故人と送る人の気持ちが少しでも癒されるのであれば、それでよいといえるのではないでしょうか。